化粧品のハラル認証|インドネシア2026年義務化への対応ガイド

化粧品のハラル認証ガイド|化粧品イメージ 化粧品・日用品
この記事のポイント
    • 2026年10月17日、インドネシアで化粧品のハラル認証が義務化される
    • 豚由来コラーゲン・動物性グリセリン等の禁止成分を植物性・魚由来に切り替える必要がある
    • 化粧品の監査費用は5,900,000ルピア/人日(約5.5万円)が上限単価の目安
    • ロート製薬が2016年にインドネシア工場でスキンケア製品のハラル認証を取得した実績がある
    • 洗剤・シャンプー等の日用品も同時期に義務化対象となる

化粧品ハラル認証の全体像

化粧品のハラル認証とは、化粧品がイスラム法(シャリーア)の基準に適合していることを第三者機関が認証する制度のことです。(2026年3月時点の情報です)

食品のハラル認証と基本的な考え方は同じですが、化粧品には独自の成分規制と専門的な監査基準があります。国際規格としてはOIC/SMIIC 4:2018「ハラル化粧品 — 一般要件」、マレーシアではMS2634:2019(化粧品向けハラル規格)が存在します。

化粧品のハラル認証取得は「成分見直し→施設整備→申請→監査→認定」の5ステップで進めます。

ステップ内容期間目安
1. 成分の棚卸し・代替禁止成分の特定と植物性・魚由来への切り替え1〜3ヶ月
2. 製造施設の整備交差汚染防止、専用ライン or 共用ラインの洗浄体制1〜2ヶ月
3. 認証機関の選定・申請輸出先国が認める機関を選び、書類を提出2〜4週間
4. 書類審査・現場監査専門監査員による成分・施設の審査1〜3ヶ月
5. 認定・マーク付与審査委員会の承認後、認証書を発行1〜2ヶ月

全体の所要期間は6ヶ月〜1年程度が目安です。2026年10月の義務化に間に合わせるには、遅くとも2026年前半には準備を開始する必要があります。

ステップ1:禁止成分の棚卸しと代替品への切り替え

禁止成分の棚卸しとは、自社製品に含まれるすべての原材料をリストアップし、ハラル適合性を確認する作業のことです。化粧品で特に注意すべき成分と代替品は以下のとおりです。

禁止成分理由代替品
豚由来コラーゲン豚由来魚由来コラーゲン、植物性コラーゲン
豚由来ゼラチン豚由来魚由来ゼラチン
カルミン(コチニール色素)昆虫由来(学派により判断が異なる)植物性色素
アルコール(エタノール)酩酊物質学派により少量は許容される場合あり
動物性グリセリン動物由来の場合あり植物性グリセリン
動物性乳化剤由来が不明確な場合植物性乳化剤

注意点:カルミンやアルコールはイスラム法の学派によって判断が異なります。輸出先国の認証機関に事前確認することが重要です。

原材料サプライヤーに対して「ハラル性証明書」の提出を依頼し、サプライチェーン全体のトレーサビリティを確保してください。禁止成分の詳細は「ハラル化粧品の禁止成分リスト」で解説しています。

ステップ2:製造施設の整備

製造施設の整備とは、化粧品の製造ラインや保管エリアをハラル基準に適合させるための改修・体制構築のことです。

インドネシアPP42/2024では、化粧品工場について以下の要件を定めています。

    • 専用施設:ハラル専用の製造ラインが理想的
    • 共用施設の条件:共用施設で製造する場合は、豚肉および豚肉由来物質を使用しないことが必須条件
    • 洗浄手順:ナジス(不浄物)が付着した設備を使用する場合はセルトゥ洗浄(水と土で7回洗浄)が必要
    • 保管の分離:ハラル製品と非ハラル製品の保管エリアを明確に分ける

食品工場で既にハラル認証を取得している企業は、その品質管理体制を化粧品ラインにも展開できるため、整備期間を短縮できます。

ステップ3:認証機関の選定と申請

認証機関の選定とは、自社の輸出先国が相互承認を持つハラル認証機関を選び、申請手続きを行うことです。

化粧品のハラル認証で注意すべき点は、監査員に専門的な資格要件が求められることです。BPJPH(インドネシアハラル製品保証実施機関)の規定では、化粧品分野の監査員は化学、生化学、生物学、薬学、医学のいずれかの学士号を保有していなければなりません。

日本の主要4認証機関(JMA・JHA・MPJA・JIT)はいずれもBPJPHとの相互承認手続きを行っていますが、化粧品分野での対応実績は機関によって異なります。申請前に「化粧品分野の監査実績があるか」を必ず確認してください。

認証機関の比較は「ハラル認証の取得方法」で詳しく解説しています。

申請に必要な書類

    • 全製品の原材料リスト(INCI名と由来の記載)
    • 原材料サプライヤーのハラル性証明書
    • 製造フロー図
    • 工場レイアウト図(保管・製造・洗浄エリア)
    • 品質管理マニュアル(GMP/ISO22716等)
    • 洗浄手順書

ステップ4:書類審査と現場監査

書類審査と現場監査とは、提出書類の確認と工場の実地調査を通じて、製品・施設のハラル適合性を評価するプロセスのことです。

化粧品の監査では、食品とは異なる専門知識を持った監査員が以下のポイントを確認します。

    • 原材料の由来:すべての成分が動物由来でないか、動物由来の場合はハラルな方法で処理されているか
    • 製造工程:交差汚染防止措置の実施状況
    • 保管・物流:ハラル製品と非ハラル製品の分離状態
    • 品質管理体制:内部ハラル管理チームの設置と教育訓練の実施

監査費用の目安

インドネシアのLPH(ハラル検査機関)における化粧品分野の監査費用は、上限5,900,000ルピア/人日(約5.5万円、2026年3月時点の為替レート)です。監査日数は製品数や工場の規模によって異なりますが、一般的に1〜3日程度です。

ステップ5:認定とその後の維持管理

認定とは、シャリーア評議会の最終判断を経てハラル認証書とマーク使用権が付与されることです。

認証取得後は以下の対応が必要です。

    • 定期監査への対応:年次の定期監査を受ける
    • 原材料変更時の報告:処方(フォーミュレーション)の変更がある場合は速やかに認証機関へ報告
    • 認証の更新:有効期限前に更新申請を行う
    • マークの適正使用:認証されていない製品へのマーク使用は厳禁

インドネシア義務化のスケジュール

インドネシアの化粧品ハラル認証義務化とは、2026年10月17日以降にインドネシア国内で流通する化粧品にハラル認証の取得を義務づける制度のことです。

期限対象品目
2026年10月17日化粧品、化学製品、日用品(洗剤・シャンプー・歯磨き粉等)
2027年10月17日衣類、頭飾り、アクセサリー関連グッズ
2028年10月17日家庭用医療品、家庭用機器、祈祷関連製品

化粧品は食品と同じタイミングで義務化されます。「肌に触れる製品」が主な対象であり、洗剤やシャンプーなどの日用品も同時期に義務化の対象となります。

インドネシアのムスリム人口は約2億4千万人(人口の87.4%)で、東南アジア最大の化粧品市場です。義務化の詳細は「インドネシアのハラル認証義務化を徹底解説」をご確認ください。

日系企業の対応事例

日系化粧品企業のハラル認証対応事例として、ロート製薬が2016年にインドネシア工場でスキンケア製品のハラル認証をMUI(インドネシア・ウラマー評議会)から取得しています。

現在、日系企業のハラル認証取得の多くは食品分野に集中しています。しかし、2026年10月の義務化を前に、化粧品分野での認証取得に動く日系企業が増加すると予測されています。

食品分野では味の素(1998年)、キューピー(2010年)、日清食品(2016年)など多くの日系企業がインドネシアやマレーシアで認証を取得しており、こうした食品メーカーの知見を化粧品事業に活かせる可能性があります。

よくある質問(FAQ)

食品のハラル認証と化粧品の認証は何が違いますか?

化粧品のハラル認証では、BPJPH監査員に化学・生化学・薬学等の学士号が求められるなど、食品より専門的な審査基準が適用されます。また、化粧品特有の禁止成分(豚由来コラーゲン、動物性乳化剤等)への対応が必要です。国際規格としてOIC/SMIIC 4:2018、マレーシアではMS2634:2019が化粧品専用の規格として存在します。

アルコール配合の化粧品はハラル認証を取得できますか?

イスラム法の学派によって判断が異なります。少量のアルコールを許容する学派もありますが、輸出先国の基準に従う必要があります。認証申請前に認証機関へ確認してください。

日用品(洗剤・シャンプー等)も義務化の対象ですか?

はい。インドネシアでは2026年10月17日から洗剤・シャンプー・歯磨き粉等の日用品もハラル認証が義務化されます。「肌に触れる製品」が主な対象です。

化粧品のハラル認証の監査費用はいくらですか?

インドネシアのLPH(ハラル検査機関)における化粧品分野の監査費用は、上限5,900,000ルピア/人日(約5.5万円)です。監査日数は製品数や工場規模により1〜3日程度が一般的です。

2026年10月に間に合わない場合はどうなりますか?

義務化期限後にハラル認証なしでインドネシア市場に化粧品を流通させることはできなくなります。期限までの準備が難しい場合は、認証機関に早めに相談し、段階的な対応スケジュールを検討してください。

関連記事:日本からハラル食品を輸出する方法

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まとめ

化粧品のハラル認証取得は、成分の見直しから認定まで5つのステップで進めます。食品のハラル認証とは異なり、豚由来コラーゲンや動物性乳化剤といった化粧品特有の禁止成分への対応が求められます。

    • 2026年10月17日のインドネシア義務化まで残り半年余り
    • 禁止成分の代替品切り替えと製造施設の整備が最優先
    • 日用品(洗剤・シャンプー等)も同時期に義務化される

次にやるべきことは、自社製品の全成分リストを作成し、禁止成分が含まれていないか棚卸しすることです。認証取得の基本的な流れは「ハラル認証の取得方法」で、費用感は「ハラル認証の費用相場」で確認できます。

参考文献