- ハラル認証の取得費用(飲食店5〜15万円、食品工場20〜300万円)は補助金で軽減できる
- 国の支援制度はジェトロ・中小企業庁の海外展開支援が中心
- 地方自治体にも産業振興策としてハラル対応支援制度がある
- マレーシアは認証取得企業に5年間の投資税額控除100%などの優遇税制を提供
ハラル認証に使える補助金・助成金の全体像
ハラル認証の補助金・助成金とは、国や地方自治体が提供する支援制度のうち、ハラル認証の取得費用に充当できるものの総称です。(2026年3月時点の情報です)
ハラル認証の取得には、飲食店で5万〜15万円、食品工場で20万〜300万円の費用がかかります。JHA(日本ハラール協会)では「0円で取得できる」ケースとして補助金の活用を紹介しており、適切な制度を利用すれば費用負担を大幅に抑えられます。
支援制度は大きく国の制度、地方自治体の制度、海外の優遇制度の3つに分類できます。
| 分類 | 主な制度 | 対象者 | 補助率の目安 |
|---|---|---|---|
| 国(ジェトロ) | 海外展開支援事業 | 中小企業・食品メーカー | 費用の1/2〜2/3 |
| 国(中小企業庁) | 海外展開・販路開拓補助金 | 中小企業 | 費用の1/2〜2/3 |
| 地方自治体 | 産業振興・輸出促進補助金 | 都道府県内の事業者 | 制度により異なる |
| 海外(マレーシア) | ハラール産業優遇税制 | マレーシア進出企業 | 法人税免除等 |
国の補助金・支援制度
国の補助金・支援制度とは、中央省庁や独立行政法人が全国の事業者を対象に実施する支援策のことです。ハラル認証取得は「海外販路開拓」の一環として補助対象に含まれるケースがあります。
ジェトロ(JETRO)の海外展開支援
ジェトロは日本貿易振興機構として、中小企業の海外展開を包括的に支援しています。ハラル認証に関連する主な支援内容は以下のとおりです。
- 新輸出大国コンソーシアム:専門家によるハラル認証取得のコンサルティング支援
- 海外ビジネス支援:現地事務所を通じた市場調査・認証制度の情報提供
- 展示会出展支援:ハラル関連の海外展示会への出展費用補助
ジェトロの支援は費用補助だけでなく、認証取得に必要な知見やネットワークの提供が強みです。最寄りのジェトロ事務所で個別相談が可能です。
中小企業庁の海外展開・販路開拓補助金
中小企業庁が所管する各種補助金のうち、ハラル認証取得費用が対象になるケースがあります。
- 小規模事業者持続化補助金:販路開拓の一環としてハラル認証費用が認められる場合あり
- ものづくり補助金:ハラル対応の製造ライン整備が対象となるケースあり
- 事業再構築補助金:ハラル市場への新規参入を目的とした設備投資に適用される場合あり
各補助金の公募要領は年度ごとに変更されるため、申請前に最新の公募要領を必ず確認してください。ハラル認証取得そのものが主目的の補助金ではなく、「海外販路開拓」や「新事業展開」の手段として認証費用を計上する形になります。
地方自治体の支援制度
地方自治体の支援制度とは、各都道府県・市区町村が独自に設けている産業振興策のうち、ハラル認証取得や海外輸出に関連する補助金・助成金のことです。
自治体によって制度名・補助額・対象要件は異なりますが、以下のような形でハラル認証取得が支援されるケースがあります。
| 制度タイプ | 内容 | 活用方法 |
|---|---|---|
| 海外販路開拓補助金 | 輸出に必要な認証取得費用を補助 | ハラル認証取得費用を「認証取得経費」として申請 |
| 中小企業振興補助金 | 新規事業・販路拡大に関する費用を補助 | ハラル対応を新規事業として位置付けて申請 |
| 食品産業振興事業 | 食品関連企業の競争力強化を支援 | ハラル対応による海外展開として申請 |
| インバウンド対応補助金 | 訪日外国人向けの環境整備を支援 | 飲食店のハラル認証取得費用として申請 |
自治体の補助金は年度の早い段階で予算が消化されることも多いため、4〜5月の公募開始時期に合わせて準備を進めておくことが重要です。所在地の都道府県・市区町村の産業振興課や商工会議所に問い合わせると、利用可能な制度を案内してもらえます。
海外のハラール産業優遇制度
海外のハラール産業優遇制度とは、ムスリム人口の多い国がハラール産業の育成を目的に提供する税制優遇や無料認証プログラムのことです。日本企業が現地に進出する際に活用できるケースがあります。
マレーシアの優遇税制
マレーシア政府は「HALAL INDUSTRY MASTER PLAN 2030」のもと、ハラール産業を国策として推進しています。JAKIM認証を取得した企業に対して、以下の優遇措置が提供されています。
| 優遇制度 | 内容 | 期間 |
|---|---|---|
| 投資税額控除 | JAKIM認証取得企業に適格資本的支出100%の控除 | 5年間 |
| ハラール工業団地 | 法人税免除(パイオニア・ステータス) | 10年間 |
| ハラール物流管理 | 法定所得100%の免税 | 5年間 |
マレーシアに製造拠点やバイヤーを持つ企業は、これらの制度を活用することで認証にかかるコストを大幅に抑えられます。
インドネシアのSEHATI(無料認証制度)
インドネシア政府はSEHATI制度として、年間売上高5億ルピア(約460万円)以下の零細・小規模企業を対象に無料でハラル認証を取得できるプログラムを実施しています。
ただし、日系企業は通常「大企業」に分類されるため、この制度は利用できません。インドネシアへの輸出を検討する場合は、日本国内で認証を取得したうえでBPJPHへのSHLN登録(1件あたり800,000ルピア)を行う流れが一般的です。
補助金を活用する際の注意点
補助金を活用する際の注意点とは、申請から受給までのプロセスで企業が把握しておくべき実務上のポイントのことです。
- 後払い方式が基本:多くの補助金は実績報告後の精算払いのため、一時的に全額を立て替える必要がある
- 申請書類の準備:事業計画書や見積書など、認証取得の目的と費用の妥当性を示す書類が必要
- 併用制限:国の補助金と自治体の補助金を同一経費に併用できないケースがある
- 交付決定前の着手禁止:交付決定前に認証機関と契約すると補助対象外となる場合がある
- 年度ごとの変更:制度内容や公募時期は毎年度変わるため、最新情報を確認する
補助金の申請に不慣れな場合は、ハラル食品の輸出方法と合わせて、商工会議所やジェトロの窓口に相談することで、自社に適した制度を見つけやすくなります。
よくある質問(FAQ)
ハラル認証の取得費用を全額補助してもらえる制度はありますか?
全額補助の制度は限定的ですが、JHA(日本ハラール協会)では補助金を活用して「0円で取得できる」ケースがあると紹介しています。複数の補助金を組み合わせたり、補助率の高い制度を選ぶことで、自己負担を最小限に抑えることが可能です。
補助金の申請から受給までどのくらいかかりますか?
一般的に、公募→申請→審査→交付決定まで2〜3か月、事業実施後の実績報告→精算払いまでさらに1〜2か月程度かかります。認証取得のスケジュールと補助金の交付スケジュールを事前にすり合わせることが重要です。
大企業でもハラル認証関連の補助金を使えますか?
中小企業庁の補助金は中小企業・小規模事業者が対象ですが、ジェトロの支援事業や一部の自治体制度は大企業も利用できるケースがあります。また、マレーシアのハラール産業優遇税制は企業規模を問わず適用されます。
認証の更新費用にも補助金は使えますか?
初回取得費用を対象とする補助金が多いですが、制度によっては更新費用も対象となる場合があります。公募要領の「補助対象経費」の項目で、認証の更新・維持費用が含まれるかを確認してください。
まとめ
ハラル認証の取得費用は、補助金・助成金を活用することで大幅に軽減できます。
- 国の制度ではジェトロの海外展開支援、中小企業庁の補助金が主な選択肢
- 地方自治体にも海外販路開拓・産業振興の枠でハラル認証費用を補助する制度がある
- マレーシアは認証取得企業に投資税額控除100%・法人税免除などの手厚い優遇措置を提供
- 補助金は後払い方式が基本のため、資金繰りに注意が必要
認証費用の詳細は「ハラル認証の費用相場」で、取得の具体的な手順は「ハラル認証の取得方法」で解説しています。(このリストは2026年9月に更新予定です)


