- BPJPHはインドネシアのハラル認証を一元管理する政府機関で、2019年に設立された
- 2024年3月時点で認証発行数159万件超、認証製品数404万件超の実績がある
- 2025年7月に宗教省の下部組織から大統領直轄機関に格上げされた
- 日本企業はJMA・JHA・MPJA・JITの4機関経由で申請できる
BPJPHとは?役割と設立の経緯
BPJPH(Badan Penyelenggara Jaminan Produk Halal)とは、インドネシア政府が設立したハラル製品保証実施機関のことです。インドネシア国内で流通するすべての製品のハラル認証を一元管理する役割を担っています。(2026年3月時点の情報です)
BPJPHは2019年、ハラル製品保証法(JPH法)に基づいて設立されました。それまでインドネシアのハラル認証はイスラム学者評議会(MUI)が担当していましたが、民間の宗教団体による認証から政府主導の公的制度へと移管されたのがBPJPH設立の最大の意義です。
2025年7月には、宗教省の下部組織から大統領直轄機関に格上げされました。これはインドネシア政府がハラル認証制度を国家戦略として重要視していることを示しています。2024年2月時点でBPJPH本部のスタッフは203名体制で運営されています。
BPJPHの認証実績と規模
BPJPHの認証実績とは、制度移管後にインドネシア国内外で発行されたハラル認証の累計件数のことです。
2024年3月時点の実績は以下のとおりです。
| 項目 | 件数 |
|---|---|
| 認証発行数 | 1,592,149件 |
| 認証製品数 | 4,048,526件 |
認証取得企業の規模別内訳を見ると、零細企業が96%、小規模企業が3%、大規模企業・海外企業が1%という構成です。この比率は、インドネシア政府が中小零細企業向けの簡易認証制度(自己宣言制度)を導入したことで、零細企業の認証取得が急速に進んだ結果です。
参考までに、MUI時代の認証企業数は2019年の3,986社から2023年には18,701社まで増加しました。BPJPH移管後はさらに急激なペースで認証件数が伸びています。
MUIからBPJPHへの移管と変更点
MUI(Majelis Ulama Indonesia)からBPJPHへの移管とは、インドネシアのハラル認証制度が民間の宗教団体主導から政府主導へと移行したことを意味します。
主な変更点は以下のとおりです。
認証の法的位置づけの変化
MUI時代のハラル認証は任意取得でしたが、BPJPH制度では段階的に義務化が進められています。インドネシアのハラル認証義務化のスケジュールは次のとおりです。
- 2024年10月:食品・飲料の義務化
- 2026年10月:化粧品・日用品・衣料品等の義務化
- 2029年:OTC医薬品の義務化
- 2034年:処方薬の義務化
MUIロゴの取り扱い
MUIのハラル認証ロゴは2026年2月1日まで使用が認められていました。現在はBPJPHのロゴに統一されています。既存のMUI認証を持つ企業は、BPJPH認証への切り替えが必要です。
PP42/2024による制度変更
2024年に施行されたPP42/2024(政府規則)により、ハラル証明書の有効期限が撤廃され永久有効化されました。ただし、認証を維持するには年次の自己宣言(セルフデクラレーション)が必要です。これは企業側の更新コスト削減を目的とした改正です。
日本企業のBPJPH認証取得方法
日本企業のBPJPH認証取得方法とは、インドネシア政府が承認した海外ハラル認証機関(FHCB)を通じて認証を取得するプロセスのことです。
日本国内でBPJPHに承認されている認証機関は以下の4機関です。
| 略称 | 正式名称 |
|---|---|
| JMA | Japan Muslim Association(日本ムスリム協会) |
| JHA | Japan Halal Association(日本ハラール協会) |
| MPJA | Muslim Professional Japan Association |
| JIT | Japan Islamic Trust |
申請はSIHALALポータル(BPJPHのオンラインシステム)経由で行います。FHCBの認定証の有効期間は4年間です。認証機関の比較については「日本のハラル認証機関を徹底比較」で詳しく解説しています。
認証取得の基本的な流れ
- 日本国内の承認機関(FHCB)に相談・申請
- 書類審査・工場監査の実施
- SIHALALポータルでBPJPHに申請書類を提出
- BPJPHによる審査・承認
- ハラル証明書の発行
ハラル認証の費用相場は認証機関や製品数によって異なりますが、日本の認証機関での取得費用は数十万円〜が目安です。
BPJPHの罰則規定
BPJPHの罰則規定とは、義務化された製品カテゴリでハラル認証なしに流通させた場合に科される行政処分のことです。
罰則は段階的に適用されます。
- 警告:書面による是正勧告
- 罰金:行政罰金の賦課
- 市場撤去:認証なし製品の市場からの回収・撤去
- 事業停止:インドネシア国内での事業活動の停止
とくに日本企業にとっては、インドネシア市場からの製品撤去や事業停止が大きなリスクとなります。ハラル認証義務化の詳細と対応策も合わせてご確認ください。
よくある質問(FAQ)
BPJPHとMUIの違いは何ですか?
MUIはイスラム学者評議会(民間の宗教団体)で、以前はハラル認証の発行を担当していました。BPJPHは2019年に設立された政府機関で、現在はハラル認証の一元管理を行っています。MUIは現在もファトワ(宗教的見解)の発行で認証プロセスに関与していますが、認証の発行主体はBPJPHに移管されています。
日本企業がBPJPH認証を取得するにはどうすればよいですか?
日本国内のBPJPH承認機関(JMA、JHA、MPJA、JITの4機関)に申請します。認証機関での審査を経て、SIHALALポータル経由でBPJPHに申請書類が提出され、承認後にハラル証明書が発行されます。
BPJPH認証の有効期限はありますか?
2024年施行のPP42/2024により、ハラル証明書の有効期限は撤廃され永久有効となりました。ただし、認証を維持するには毎年の自己宣言(セルフデクラレーション)が必要です。
BPJPHの認証がなくてもインドネシアに輸出できますか?
義務化対象の製品カテゴリでは、ハラル認証なしでの流通は認められません。2024年10月から食品・飲料が義務化されており、認証なしの場合は警告、罰金、市場撤去、事業停止の段階的な罰則が科されます。
まとめ
BPJPHはインドネシアのハラル認証を一元管理する政府機関であり、2024年3月時点で159万件超の認証を発行しています。2025年7月の大統領直轄化により、ハラル認証制度はインドネシアの国家戦略としてさらに強化されました。
日本企業はJMA・JHA・MPJA・JITの4つの承認機関を通じて認証を取得できます。義務化スケジュールが段階的に進行している今、早めの対応を検討することが重要です。


