- 2026年10月17日から輸入食品・化粧品・日用品等のハラル認証がインドネシアで義務化
- 対象は1,200以上の食品、150以上の飲料、250以上の添加物を含む19カテゴリ
- 認証なしの場合は「非ハラル」表示義務。違反には最大20億ルピア(約1,900万円)の罰金
- 日本企業は「BPJPH直接申請」または「日本の認証機関経由→BPJPH登録(約50USD)」の2ルートで対応可能
インドネシアのハラル認証義務化とは
インドネシアのハラル認証義務化とは、2014年に制定された「ハラル製品保証法(Law No.33/2014)」に基づき、インドネシア国内で流通するすべての製品にハラル認証を義務づける制度です。(2026年3月時点の情報です)
従来、ハラル認証はMUI(インドネシア・ウラマー評議会)が民間組織として任意で管理していました。しかし2019年10月、政府機関であるBPJPH(Badan Penyelenggara Jaminan Produk Halal/ハラル製品保証実施機関)が設立され、認証制度が国家管理に移行しました。2025年7月にはBPJPHは宗教省から分離し、大統領直轄の機関となっています。
インドネシアは世界最大のムスリム人口(約2億4千万人、人口の87.4%)を有する国であり、世界で初めて輸入品を含むほぼ全ての消費財にハラル認証を義務化する国です。
2013年にも日本で「ハラルブーム」がありましたが、当時は「取れば売れるかも」という任意の取り組みでした。今回は「取らないと売れない」という法的義務であり、状況が根本的に異なります。
義務化のタイムライン|段階的導入スケジュール
義務化のタイムラインとは、製品カテゴリごとに段階的にハラル認証が必須となるスケジュールです。政令2024年第42号(PP42/2024)により、以下のとおり定められています。
| 期限 | 対象品目 | 対象事業者 |
|---|---|---|
| 2024年10月17日(実施済み) | 食品・飲料・食肉処理製品・食肉処理サービス | 国内の中規模・大規模企業 |
| 2026年10月17日 | 食品・飲料(輸入品・零細小規模)、化粧品、化学製品、遺伝子組換え製品、包装材、衣料品、日用品、文具、医療機器(クラスA) | 全事業者(輸入品含む) |
| 2027年10月17日 | 衣類、頭飾り、アクセサリー関連グッズ | — |
| 2029年10月17日 | 市販薬(OTC)、リスクAクラス医療機器 | — |
| 2034年10月17日 | 処方薬 | — |
当初は2024年10月17日に食品・飲料の義務化が全面的にスタートする予定でしたが、国内外企業のコンプライアンス対応の時間確保を理由に、輸入食品の義務化は2026年10月17日まで延長されました。これは日本企業にとって対応を準備する最後の猶予期間です。
2026年10月17日に対象となる19カテゴリ
2026年10月17日に義務化が拡大される製品カテゴリは、食品だけでなく化粧品・日用品にまで及びます。USDA GAIN(2025年版)によると、1,200以上の食品、150以上の飲料、250以上の添加物が対象です。
| # | カテゴリ | 日本企業への影響 |
|---|---|---|
| 1 | 乳製品およびその類似品 | 乳製品メーカー |
| 2 | 油脂・油エマルション | 油脂メーカー |
| 3 | 食用氷(シャーベット・ソルベ含む) | 冷菓メーカー |
| 4 | 食品添加物を含む加工果物・野菜 | 加工食品メーカー |
| 5 | 菓子・キャンディ・チョコレート | 菓子メーカー |
| 6 | 穀物・穀物加工品 | 製粉・製麺メーカー |
| 7 | ベーカリー製品 | パン・菓子メーカー |
| 8 | 肉・肉製品 | 食肉加工メーカー |
| 9 | 魚介類(食品添加物使用加工品) | 水産加工メーカー |
| 10 | 加工卵・加工卵製品 | 鶏卵加工メーカー |
| 11 | 砂糖・甘味料(蜂蜜含む) | 製糖メーカー |
| 12 | 塩・スパイス・スープ・ソース・タンパク質製品 | 調味料メーカー |
| 13 | 特別栄養食品(乳児用粉乳等) | ベビーフードメーカー |
| 14 | スナック菓子(即席食品) | スナックメーカー |
| 15 | 包装済み即席食品 | 即席麺メーカー等 |
| 16 | 飲食店での調理食品 | 外食チェーン |
| 17 | 食品添加物 | 添加物メーカー |
| 18 | その他の材料(バニラ、光沢剤等) | 原材料メーカー |
| 19 | 加工飲料(乳製品を除く) | 飲料メーカー |
さらに食品以外では、化粧品、化学製品、遺伝子組換え製品も2026年10月17日に義務化されます。日本のJ-Beauty(化粧品)メーカーにとっても大きな影響があります。化粧品のハラル認証について詳しくはこちら
認証が免除される製品(ポジティブリスト)
ハラル認証が免除される製品とは、「ハラル・ポジティブリスト」に掲載された最小加工品等のことです。すべての製品に認証が必要なわけではありません。
- 未加工の生鮮植物製品:生鮮果物、生鮮野菜、穀物、ナッツ等
- 最小限の加工のみの製品:乾燥野菜、乾燥海藻、ココナッツパウダー、ココアパウダー、小麦グルテン等
- 水生動物:水中でのみ生存する魚介類は全てハラル(有毒なものを除く)
- 化学物質:食品添加物・加工助剤として4,000以上の化学物質がリストに掲載(宗教大臣決定2021年第1360号)
ただし注意:ポジティブリスト掲載品であっても、調味・塩漬け・コーティング・他製品との混合等の加工を施した場合はハラル認証が必要です。また、収穫から包装までのフローチャート提出も求められます。
認証を取らない場合の罰則とリスク
ハラル認証を取得しない場合の罰則とは、インドネシア政令2021年第39号第149条に基づく行政処分です。
| 段階 | 罰則内容 |
|---|---|
| 第1段階 | 書面による警告 |
| 第2段階 | 罰金(最大20億ルピア=約1,900万円) |
| 第3段階 | ハラル認証の取消し |
| 第4段階 | 製品の販売停止・市場からの回収 |
マレーシアでは認証なしでハラル表示をした場合、個人は初回100万RM以下の罰金または3年以下の懲役、法人は500万RM以下の罰金が科されます。詳しくは「ハラル認証の罰則と違反リスク」をご覧ください。
認証を取得しない製品をインドネシアで流通させる場合は「非ハラル(non-halal)」表示が義務となります。豚由来成分を含む製品には「MENGANDUNG BABI」(豚を含む)の文字と豚のイラストを表示する必要があります。
日本企業の2つの認証取得ルート
日本企業がインドネシア向けにハラル認証を取得するルートは、大きく分けて2つあります。
ルート1:BPJPHに直接申請
- インドネシアの代理事務所または輸入代理店が代理で申請
- ハラルスーパーバイザー(ムスリム)を最低1名配置する必要あり
- LPH(ハラル検査機関)が監査を実施。海外企業はLPHウタマ(上位4機関のみ)との契約が必要
- 認証の有効期間:無期限(PP42/2024で永久有効化。ただし年次自己宣言が必要)
- 費用目安:BPJPH登録費12,500,000ルピア(約12万円)+LPH監査費(加工食品の場合約13万円)+外部研修費890USD/名
ルート2:日本の認証機関で取得→BPJPHに登録(推奨)
- 日本のBPJPH認定認証機関(JHA, JMA, MPJA, JIT)でハラル認証を取得
- 取得後、SIHALALポータル経由でBPJPHに海外ハラル証明書登録(SHLN)を申請
- 登録費用:800,000ルピア(約50USD)と非常に安い
- 有効期間:日本の認証機関の認証期間に依存
- 90日前までに更新申請が必要(未申請で自動キャンセル)
多くの日本企業にとってはルート2が現実的です。日本語で対応でき、日本国内で監査を受けられるためです。「ハラル認証の取得方法」で詳しい手順を解説しています。
BPJPHが認定する日本の認証機関
BPJPHが認定する日本の認証機関とは、BPJPHと相互承認協定(MRA)を締結した日本国内の4機関のことです。
| 機関名 | 略称 | 種別 | インドネシア | マレーシア | 中東 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本ムスリム協会 | JMA | 宗教法人 | ○ | ○ | — |
| 日本ハラール協会 | JHA | NPO法人 | ○ | ○ | ○(GCC, SFDA, UAE) |
| ムスリムプロフェッショナルジャパン | MPJA | 一般社団法人 | ○ | ○ | ○(SFDA) |
| 日本イスラーム文化センター | JIT | 宗教法人 | ○ | ○ | ○(GCC, SFDA, UAE, カタール, トルコ) |
認証機関の詳しい比較は「日本のハラル認証機関を徹底比較」をご覧ください。
日本企業が今すぐやるべき3つのこと
2026年10月の期限まで残り約7ヶ月です。認証取得には準備から数ヶ月かかるため、今すぐ動き始める必要があります。
ステップ1:自社製品が対象か確認する
上記19カテゴリに該当するか、ポジティブリストで免除されるかを確認します。「ハラル認証は必要?不要?|判断フローチャート」で確認できます。
ステップ2:認証機関を選定する
日本のBPJPH認定4機関に問い合わせ、費用・期間・対応範囲を比較します。「費用相場」も参考にしてください。
ステップ3:補助金を確認する
ジェトロ等のハラル認証取得に使える補助金があります。「補助金・助成金一覧」で確認できます。
よくある質問(FAQ)
食品以外も対象ですか?
はい。2026年10月17日から化粧品、化学製品、包装材、衣料品なども対象になります。インドネシアは世界で初めて食品以外の消費財にも広くハラル認証を義務化する国です。
認証を取らなくても輸出できますか?
現時点では「非ハラル」表示をすれば輸入・流通は可能です。ただし、ムスリムが人口の87%を占めるインドネシアでは「非ハラル」表示の製品は事実上売れません。また、小売店が棚に置くことを拒否するケースもあります。
認証の取得にどのくらいの期間がかかりますか?
日本の認証機関経由(ルート2)の場合、準備から認証取得まで4〜10週間程度です。ただし、工場の改修や原材料の変更が必要な場合はさらに時間がかかります。2026年10月に間に合わせるには、遅くとも2026年7月までに申請を完了すべきです。
費用はいくらかかりますか?
ルート2(日本の認証機関経由)の場合、認証費用は新規66万円〜(JHAの場合)。BPJPH登録費が別途約50USD。企業規模や製品数により異なりますので、認証機関に直接見積もりを依頼してください。
既にHACCPやISO 22000を取得していますが、ハラル認証の取得は容易ですか?
はい。各国のハラル認証規格はISO 9001、HACCP、GMPをベースに作成されているため、既に品質管理の仕組みがある工場はハラル認証取得が容易です。追加で必要になるのは、原材料のハラル性確認、豚由来成分の排除、ムスリム人材の配置等です。
まとめ
- 2026年10月17日がインドネシア向け輸出品のハラル認証義務化の期限
- 対象は食品19カテゴリに加え、化粧品・日用品・衣料品・包装材も含む
- 認証なしは罰金(最大約1,900万円)・販売停止のリスク
- 日本企業は日本のBPJPH認定機関(JHA, JMA, MPJA, JIT)経由で認証取得が現実的
- 今すぐ自社製品の対象確認→認証機関への問い合わせを開始すべき
この記事は制度変更に応じて定期更新しています。次回更新予定:2026年5月



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